浦島太郎はリーマンの願望メタファーである
ブンガク研究者の解釈によると、お伽草子の浦島太郎は、不老不死の願望だったり(たまてばこのくだり)、母親への胎内回帰願望だったり(竜宮城のくだり)します。まあ妥当な解釈でしょーな。流浪の教員丸の内は、この浦島太郎を現代社会に当てはめてみたのであります。
題して、「浦島太郎はリーマンの願望メタファーである」。
物語に登場する浦島太郎は典型的な日本のサラリーマン。浦島商社で働く企業戦士。上司は話がクドくて粘着質、同僚は酒癖悪くてギャンブル好き、顧客は無理難題ばかり並べて一向に契約してくれない。若いオネーチャンもいない殺伐とした職場なのである。
そんなある日、太郎がいつもの海岸に営業にいくと、外資系商社の新入社員がタチの悪い連中に絡まれていた。折りしもこの不景気。こんな外資系野郎にシェアを奪われてなるのもかと、よってたかってボコボコにしていたのだ。
太郎は一瞬躊躇したものの、「オイ!ケイサツ呼ぶぞ!」と威嚇して連中を追い払った。
太郎のお陰で助かった外資系リーマンは「お礼にわが社のある本国へご案内しましょう」と申し出て、ジェット機をチャーターすると、そのまま太郎を連れて海外へ向かったのである。急な申し出ではあったが、日々の生活と今の会社に不満を感じていたため、気分転換も兼ねて随行を快諾した。
外資系リーマンが案内したのは、なんと世界的某企業の役員室。太郎に助けてもらった報告を受けるやいなや、感謝のしるしにとパーティを開く運びとなった。会場は企業が所有する高層ビルのペントハウス。太郎のために贅沢な住居も与えられた。もちろん食事やコンパニオンも申し分ない。
パーティは一週間ぶっ通しで行われ、高いシャンパンやワインが次々に開いていった。ゲストに有名ミュージシャンが招待され、目の前で生演奏が繰り広げられた。世界的スターと呼ばれる人たちも多数訪れ、その中にはあの歌姫もいた。
太郎は光速で歌姫の虜になった。まるで恋人同士のように朝昼晩と二人で過ごした。寝ても起きても歌姫がそばにいたのだ。このウハウハ状態に、太郎はいままでの生活をすっかり忘れてしまったように思えた。
ところがある日、なぜだか太郎が日本の会社のことをちと思い出したのである。太郎は歌姫にこう告げた。
「そろそろボーナス出ると思うし、やっぱ無断欠勤もマズいし、年末調整もやらなくちゃだし、一旦帰国していい?」
「えー、帰っちゃうの?マジ?」
「うん、ごめんね」
「じゃあさー、記念にこの箱あげるけど、開けちゃダメだよ」
「おk」
「着いたらメールしてね」
「わかた」
果たして、行きと同じようにチャーター便で帰国した太郎であった。が、しかし…、以前と様子がすっかり様変わりしているではないか。政権交代なるイベントがあったらしく、宇宙人みたいな顔の首相がニュースに出ている。清純派アイドルが薬物使用で逮捕されたという話も聞いた。トヨタの店長はコドモになったというし、街行くヒトは全員ユニクロのヒートテックを身にまとっている。
アアア。オレが遊んでいる間に、何から何まで変わっちまったよ!
失望した太郎は、歌姫にもらった白い箱をエイヤッと取り出した。歌姫はなんで開けちゃダメなんて言ったんだろう。意味わかんねー。いいや、開けちゃえ!
・・・・・
結末はご自由にご想像ください。くだらなすぎてスミマセン。
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コメント
中身は言わぬがお約束・・・
投稿: マクガフィン | 2009年12月14日 (月) 23時08分